感奮興起



先日東京に行く用事があり、時間があったので上野にある国立西洋美術館で開催されていた、「オルセー美術館所有 印象派絵画展」(写真)を見てきました。絵画は別に詳しいわけではありませんが、時々異世界の中に入ってみたくなります。普段歯科の世界に没頭し、経験や研鑽を積みその道を極めるのは確かに重要なことだとは思いますが、「井の中の蛙(カワズ)、大海を知らず」と言う言葉があるように、日々同じ環境だけにいるのではなく、全く違う世界の情景を見ると頭の中が軽くなり、新しいひらめきが出てくるような気がします。パソコンで例えるならリスポンスが遅くなったので不要なファイルを大量に削除したら、サクサク動くようになった、みたいな。そうは言っても絵のことはやっぱりよく知りません。誰でも知っていることならば・・・。たとえばルノワールは柔らかい線のほんのりした感じで、気持ちが穏やかになります(写真)。モネは睡蓮の絵で有名(描いた絵の半分以上は睡蓮のようです)ですが、自分の家に日本庭園を作って日本から睡蓮を取り寄せ、とことん睡蓮の絵を描いたようです(写真)。まあとてもすごい仕事で歯医者の感覚では芸術に人生のすべてを費やするというのは別の次元ですね。美術館を出てからはフワーっとした足取りになりとても得した感覚でした。
でも悪い癖で、このような美しい絵を描くというのは、自己顕示なのか自己満足なのか、はたまた(絵を売るための)商売なのか、とつい考えてしまうところが俗ですね。また「井の中にカワズがいるって、きもち悪いよなあ・・・。井戸から水を汲み上げたらカエルが入ってたら・・・。」とか、「大海を知らずって、カワズが海に入ったら塩水で生きてゆけないだろうに・・・。」なんて考えたりして、「発想がくだらなくて歯医者の自分は何も変わっていない・・・。」と「医の中のカワラズ」のまま不忍池を後にしました。


