歯科医師の使命63

11月7日にスイス、ジュネーブで行われた「水銀に関する水俣条約」の第6回締約国会議は、銀歯としてむし歯治療に使う「歯科用アマルガム」の製造や輸出入を2034年末までに禁止することで合意しました(写真はイメージです)。
私が歯学部の学生だった頃は歯科用アマルガムの治療の実習がありました。ただ実際の臨床でこれまで自分が行ったことはないものの、患者さんの口の中では数えきれないほどのアマルガムの詰め物を見てきました。日本では16年に保険適用から除外され、現在は製造されていません。また日本の環境省はアマルガムを既に使った人でもむし歯の再発などがなければ除去する必要はないとしています。2013年に採択された水俣条約は、水銀による健康被害や環境汚染を防ぐための国際的な条約です。水俣病の原因である水銀が人の口の中の詰め物として使用されていると聞けば皆さん大変驚かれるかと思います。ただ歯科用アマルガムは、金属間化合物で安定した結晶相を形成します。
その場合安定した形で存在していますので、WHO(世界保健機関)やFDA(アメリカ食品医薬品局)は、アマルガムの使用は大多数の成人において安全であるとしています。さらに加熱(例えば熱い飲食物)で微量の水銀蒸気が発生する可能性がありますが、WHOや各国の研究によれば、アマルガム充填からの水銀蒸気の吸収量は微量で、通常は健康に影響を及ぼさないレベルのようです。しかしそれは完全にゼロではありませんし水銀イオンの溶出もゼロではないようです。ですから妊婦、授乳婦、小児、腎疾患患者、金属アレルギーなど一部の患者様には使用を控えることも考えられますので、アマルガムを取り除くこともあります。
ただ、詰めてある歯科用アマルガムを取り除くには一定量の健康な歯を削ることが避けられませんので、微量のアマルガムならそのまま残すか、最小限の歯を削るようにして取り除くべきかはしっかりと診査して患者さんと十分協議することが大事です。


