昭和ということ


今年は昭和100年で終戦80年です。
半藤一利さんの分厚い「昭和史 1926年▷1945年」(写真)をやっと読み終わりました。それにしてもよくこんなに詳細な取材や考証ができるものだとひたすら驚嘆するばかりです。昭和の一番大きな出来事は第二次世界大戦ですから、この本のほとんどはその顚末です。そしてこれまでの戦争への認識が浅かったことがわかりましたし、なぜ日本は戦争に突き進んだのか、引き返すこともできたのになぜそうしなかったのか、特攻隊はなぜできたのか、なぜ無条件降伏となるまで徹底的に爆撃されたのか、本当の終戦日は8月15日ではなく9月2日—など、読めば本当に詳しく書いてあります。ひとつには日本が開戦直後から大勝が続いたことにより、国民全体がイケイケモードになってしまったことでより悪い道に進んでしまたったようです。また半藤さんによると、高校の授業や大学入試によく出てくる「無常ということ」を書いた小林秀雄さんでも戦時中は好戦的な論調を書いていたそうです。皮肉なことに「無常ということ」には「歴史には解釈や思想はいらない」ということが書いてありますが、今歴史をちょっとだけでも見ればどれだけ戦争が誤った行為であるかが小林英雄さんにもわかったはずです—。
さて昭和といえばプロレスです。先日とある百貨店のイベントで「燃える闘魂、アントニオ猪木展」(写真)に行って来ました。小学校の頃は毎週テレビのゴールデンタイムにプロレス中継がありました。昭和30年代は世の中みーんなプロレス狂いで、力道山さん亡き後はジャイアント馬場さんが超スターでした。その後アントニオ猪木さんが出現しジャイアント馬場さんとタッグを組んだ時は衝撃的でしたね。アントニオ猪木さんといえばスーツに赤いマフラーで「元気ですかーっ!! 1、2、3、ダァー!!」と言ってビンタ食らわすのが有名ですが、自分としては現役レスラーとしてのイメージしかありません。ジャイアント馬場さんは16文キックが決め技でしたが、体型が大きいだけにやや動きがスローでしたが、アントニオ猪木さんはパワー、スピード、技とどれをとっても並外れていて、プロレスでは別格のヒーローでした。大学病院に勤務していた時にとある歯科医からアントニオ猪木さんの歯型模型を見せられた時、その本物のゴツい顎の形と大きさを見た時に全身震えたことを覚えています。
昭和は「巨人、大鵬、卵焼き」の時代で、価値観が画一的でみんなが同じ方向を見ていたんでしょうね。今は多様化の時代ですが、さーて、どっちがいいのでしょう。